公開日: 2025.08.27 更新日: 2025.08.26

マッサージ店の開業方法を徹底解説|必要資格や資金・助成金を紹介

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マッサージ店の開業方法を徹底解説|必要資格や資金・助成金を紹介

マッサージの技術を身につけ、「いつか自分の店舗を持ちたい」と考える方は少なくありません。しかし実際に開業を目指す段階になると、どのような資格が求められるのか、どの程度資金を用意する必要があるのかといった疑問が浮かぶことも多いでしょう。

また、店舗を持つのか、レンタルサロンを活用するのか、出張専門とするのかといった開業形態によっても準備の内容が変わります。当記事では、マッサージ店の開業に必要な資格、資金の目安、利用できる助成制度、申請書類の種類、開業後の成功に向けた工夫について解説します。

1. マッサージ店を開業すると儲かる?

マッサージ店を開業した場合の収入は、施術者自身がどのような働き方をするかによって大きく異なります。厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、あん摩マッサージ指圧師を含む「その他の保健医療従事者」の平均年収は約476万円です。

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

また、東洋療法学校協会の調査では、独立した人の平均的な月額収入は17.9万円という結果が出ています。ただし、月収が55万円以上の人も4.2%存在するので、年収500万円以上を狙うのは十分に可能です。

出典:東洋療法学校協会「第6回 あん摩マッサージ指圧師・はり師及びきゅう師 免許取得者の進路状況 アンケート調査報告書」

経営の工夫や施術効率、リピート率によっては、年収600万円~1,000万円以上の水準に達することもあります。ただし、家賃や人件費、広告費といった経費によっても利益は圧迫されるので、年収を上げたい場合は技術力と経営力の双方が必要になります。

2. マッサージの開業に必要な資格

マッサージ店の開業を検討する際は、施術内容によって資格の有無が異なります。治療を目的とした医療類似行為を行う場合は国家資格が必要となりますが、リラクゼーションを目的とするもみほぐしなどであれば、無資格でも開業できます。まずは、それぞれの違いについて確認しておきましょう。

2-1. マッサージなど医療類似行為をする場合は資格が必要

人体の不調を改善し、治療効果を期待されるような施術を提供する場合には、法的に認められた以下のような国家資格が必要です。

  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師/きゅう師
  • 柔道整復師

あん摩マッサージ指圧師は、手や指を使って筋肉や関節などを指圧し、血行を促し、筋肉の緊張をやわらげる施術を行う資格です。「マッサージ」や「指圧」をうたって開業を行う場合は、あん摩マッサージ指圧師資格がなければ違法となります。あん摩マッサージ指圧師資格は、文部科学大臣または厚生労働大臣が認定する養成施設において必要な知識と技能を修得し、国家試験に合格する必要があります。

また、鍼灸院などで用いられる「はり」や「きゅう」に関しても、それぞれ国家資格が必要です。鍼灸師として開業するためには、各資格の試験に合格し、厚生労働省に登録しなければなりません。

柔道整復師は、脱臼や骨折などの外傷に対して手技で対応する施術者です。「ほねつぎ」や「接骨院」などの名称で施術所を開設する場合には柔道整復師資格が必要です。

2-2. もみほぐしや整体を行う場合は無資格で問題なし

治療ではなくリラクゼーションを目的とした施術であれば、特別な資格は必要ありません。以下に紹介するような施術方法は、無資格でも開業が可能です。

  • もみほぐし
  • リラクゼーションサロン
  • オイルトリートメント
  • カイロプラクティック

もみほぐしやリラクゼーションサロンは、疲労回復やリラックスを目的とした施術であり、明確な症状に対する診察や治療ではないため、法的にはマッサージ行為と区別されます。そのため、医療行為に該当せず、資格がなくても提供できます。

オイルトリートメントは、アロマオイルなどを使用して素肌に直接触れながら全身をほぐす施術です。アロマの香りによるリラックス効果が期待されており、精神的・身体的な癒しを目的とするものとして、多くのサロンで取り入れられています。

カイロプラクティックは、アメリカで誕生した施術法で、骨格のバランスを整えることにより身体の自然治癒力を引き出すとされています。日本では法的な資格制度が存在しないため、必要な技術や知識を習得すれば、開業することは可能です。

ただし、リラクゼーションを目的とした施術であっても、医療的な効果をうたうことは法律違反となるため、広告表現やサービス案内の際には注意が必要です。

3. マッサージで独立・開業する方法と必要資金

マッサージ店を独立・開業する場合、開業場所によって必要資金は大きく変わります。以下は、店舗物件の形態ごとの必要資金の目安です。

開業場所 必要資金の目安 特徴・メリット
自宅での開業 約100万~150万円 家賃不要でコストを抑えられる
マンションでの開業 約200万~300万円 店舗として本格的な営業が可能
レンタルサロンでの開業 約20万~50万円 固定費が少なく初期費用を抑えられる
出張訪問での開業 約20万~30万円 店舗が不要で低資金でスタート可能

なお、マッサージ店を開業する際は、施術を行うスペースだけでなく、施術用ベッドや家具類、タオルなどの消耗品、事務用品、洗濯機などの電化製品が共通として必要です。備品の費用は一般的に合計で20万~40万円程度が目安となります。

また、開業直後は売り上げが安定しないため、家賃や水道光熱費、消耗品費、人件費、通信費、広告宣伝費、税金・保険料など、3か月分程度の運転資金である約100万~200万円を準備資金として調達しておくことが推奨されます。

以下では、開業方法ごとの特徴や、必要資金の目安を詳しく解説します。

3-1. 自宅で開業する

自宅で開業するメリットは、家賃や敷金・礼金がかからない点です。そのため、初期費用を大幅に抑えることが可能です。ただし、施術スペースを自宅の生活空間と区別するために、内装工事や家具購入の費用が必要となります。

自宅を店舗として改装する場合の工事費用の目安は30万~50万円ほどです。広告宣伝費やランニングコストなどを合わせると、開業にかかる総額は約100万~150万円程度になるでしょう。

なお、自宅が賃貸物件の場合は、開業にあたって大家や管理会社の許可が必要となります。許可が得られないケースも多いため、事前の確認が必須です。

3-2. マンションで開業する

マンションの一室を借りて開業する場合、立地や内装の自由度が高く、自宅よりも本格的な店舗として運営できるのがメリットです。ただし、通常の居住用マンションでは営業が禁止されていることが多く、店舗利用が認められた物件(SOHO物件など)を選ぶ必要があります。

マンション開業の初期費用は、敷金・礼金・仲介手数料などを含めて約100万~150万円程度が目安です。内装工事が必要な場合はさらに50万~100万円ほど上乗せされます。備品や広告宣伝費、ランニングコストを考えると、トータルの必要資金は約200万~300万円程度と見込んでおきましょう。

3-3. レンタルサロンで開業する

レンタルサロンとは、時間単位や日単位で施術スペースを借りる形式の店舗運営です。初期費用がほぼ不要で、固定費を大幅に抑えられる点が大きなメリットです。ベッドや家具などの備品もあらかじめ用意されているケースが多いため、初期投資をほぼゼロに近づけることができます。

レンタル料は地域や設備によりますが、1時間あたり約1,500~3,000円程度が相場です。広告宣伝費や消耗品費を合わせても、開業資金は約20万~50万円程度で済みます。ただし、利用可能な時間に制限があるため、長時間の営業を行いたい場合は割高になる可能性もあります。

3-4. 出張訪問を行う

出張訪問型のマッサージ店は、自宅や店舗を構えずに、お客さまの自宅や指定の場所へ訪問して施術を行います。固定の家賃が発生しないため、初期費用やランニングコストを極めて低く抑えられるのが特徴です。特に店舗を借りる必要がなく、開業資金は約20万~30万円ほどで足ります。

一方で、集客には苦労する可能性が高く、広告宣伝費を十分に用意しておく必要があります。また、移動にかかる交通費や移動時間のロスを考慮して、施術料金やスケジュール調整を工夫することが求められます。

4. マッサージ店の開業に活用できる助成金・補助金

マッサージ店を開業する際には、設備投資や人材確保、販路開拓など、さまざまな費用が発生します。負担を軽減しながら資金調達をするためにも、公的な補助金・助成金を活用することが効果的です。ここでは、マッサージ店の開業において利用しやすい代表的な4つの制度について紹介します。

4-1. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、商工会議所または商工会のサポートを受けながら、販路開拓や業務効率化に取り組む事業者を対象とした制度です。例えば、新しい顧客層を取り込むための広告宣伝費や、施術機器・ベッドなどの設備導入費のうち、「経営計画に基づいて新たな販路開拓につながる取組み」であれば対象経費として認められます。

補助率は対象経費の3分の2で、補助の上限額は施策に応じて50万~200万円の範囲内で支給されます。地域の商工会議所・商工会が窓口となっており、会員でなくても申請可能ですが、詳細な支援を受けたい場合は加入を検討してもよいでしょう。

出典:小規模事業者持続化補助金事務局「小規模事業者持続化補助金【一般型・通常枠】」

4-2. 地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金は、雇用機会が限られている地域で新たな事業所を設置し、地元の人材を雇用した事業者に対して支給される制度です。対象となる地域は厚生労働省が指定しており、条件を満たした上で地域のハローワークを通じた雇用を行う必要があります。

助成額は雇用人数や整備内容に応じて、80万~800万円と高額になる場合もあります。マッサージ店を地方で開業し、地域活性化に貢献する場合には、活用を検討すべき助成金の1つです。

出典:厚生労働省「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」

4-3. キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の従業員(アルバイト・パート・契約社員・派遣社員など)の処遇改善を目的とした制度です。主に非正規雇用者を正社員に転換したり、賃金を引き上げたり、スキルアップのための研修を実施したりする場合に助成金を受け取ることができます。

マッサージ店では、採用時にパートタイムや業務委託契約で働いている施術者を後に正社員登用するケースも多くあります。キャリアアップ助成金を活用すれば、雇用の安定と人材定着を促進することが可能です。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

4-4. 人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、従業員の職業能力を高めることを目的とした制度です。事業主が雇用保険適用事業所であり、かつ計画的に職業訓練を実施することで、訓練に要した経費や訓練中の賃金の一部が支給されます。

マッサージ技術や接客スキルの向上を目的とした研修にかかる費用も、条件を満たせば助成の対象となります。特に技術職が中心となるマッサージ業界では、継続的な人材育成が経営の安定につながるため、制度を活用するのがおすすめです。

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」

5. マッサージ店の開業に必要な許認可・申請書

マッサージ店を開業する際には、施術内容に関わらず、開業手続きや申請書の提出が必要です。特に重要なのが、税務署と都道府県税事務所への届出、そして医療類似行為を行う場合に必要な保健所への届出です。ここでは、それぞれの手続き内容と注意点について詳しく解説します。

5-1. 開業届

マッサージ店を開業する際には、まず税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(通称:開業届)」を提出する必要があります。開業届は、開業日から1か月以内に提出するのが原則で、届出をすることで個人事業主としての活動が正式に認められます。

開業届は税務署の窓口で取得できるほか、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。提出先は、自宅開業の場合は自宅所在地の税務署、店舗開業の場合は店舗所在地の管轄税務署となります。

5-2. 事業開始等申告書

「事業開始等申告書」は、都道府県に提出する書類で、個人事業税の課税対象となる可能性がある業種で提出が求められます。開業届とは異なり、提出先は都道府県税事務所である点に注意が必要です。

提出期限や様式は都道府県ごとに異なるため、各自治体の公式サイトで確認するか、税務事務所に直接問い合わせるとよいでしょう。記載内容は開業届とほぼ同じであるため、開業届と一緒に作成・提出しておくと手続きがスムーズに進みます。

申告書を提出しないことによる罰則は基本的にありません。しかし、適切な納税管理のためにも忘れずに対応することが望ましいと言えます。

5-3. 【医療類似行為を提供する場合】施術所開設届出書

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などの国家資格を保有しており、治療目的の医療類似行為を提供する場合には、「施術所開設届出書」を提出する必要があります。

届出は、開業から10日以内に、事業所の所在地を管轄する保健所へ提出する必要があります。提出書類は保健所の窓口で配布されているほか、多くの自治体ではホームページからもダウンロード可能です。提出後、施術室の広さ、換気、衛生設備などがそろった適切な環境で国家資格者が施術を行っていると確認されれば、認可が受けられます。

なお、リラクゼーションを目的としたサロンで、医療類似行為を行わない場合は、この届出は必要ありません。

6. マッサージ店の開業に失敗しないためのコツ

マッサージ店の開業を成功させるためには、施術技術だけでなく、経営や集客の視点も重要です。特に初めて独立開業する場合は、明確な事業方針や戦略を持たないまま準備を進めると、開業後に集客や収益化でつまずくケースも少なくありません。以下では、開業時に押さえておくべき4つのポイントを紹介します。

6-1. コンセプトとターゲットを明確にする

開業に際して最初に取り組むべきは、サービスの「コンセプト」と「ターゲット」の明確化です。どのような悩みを持つ人に、どのような価値を提供するのかを明らかにすることで、メニュー構成や料金設定、店舗デザイン、広告の打ち出し方に一貫性を持たせることができます。

例えば「育児で疲れている30代女性向けのアロママッサージ」や「スポーツ後の体のケアを重視した男性向けボディケア」など、具体的な人物像を設定すると、自然と店舗運営の方針も見えてきます。

6-2. 競合他社との差別化を行う

マッサージ業界は競合が多く、店舗数も年々増加しているため、自店舗ならではの強みを打ち出し、競合店との差別化を図る必要があります。

差別化のポイントとしては、「施術の専門性」「営業時間や立地の便利さ」「価格帯」などが挙げられます。また、「妊活中の女性向け」「高齢者の悩み特化」「短時間でのリラクゼーション」など、特定のニーズに特化したサービスを提供するのも効果的です。

他店と異なる魅力を打ち出すことで、価格以外の価値で選ばれるサロンとなり、長期的な顧客確保につながります。

6-3. ターゲット層に合わせた集客を開業前から行う

安定した経営を実現するには、開業後すぐに一定数の集客を見込める状態にしておくことが理想です。

ターゲット層に合わせてSNS、ブログ、チラシ、地域情報誌、Googleビジネスプロフィールなどの集客方法を活用し、開業前から情報発信を行いましょう。「どこに広告を出すか」だけでなく、「どのように予約までつなげるか」までを計画的に考えることが重要です。

集客の導線設計や訴求ポイントが定まらないまま運用を開始すると、効果が出るまでに時間を要することになります。開業前からの認知づくりと見込み客の確保が、スタートダッシュ成功のカギとなります。

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6-4. リピーターになる仕組みを作る

新規集客だけに頼る経営は不安定になりがちです。安定した収益を確保するには、リピーターをいかに増やすかが重要です。

リピートにつなげるためには、「忘れられない仕組み」が必要です。例えば、LINE公式アカウントを使った情報発信や、スタンプカードによる特典制度、誕生日クーポンなど、継続的な接点を持つ工夫を取り入れましょう。

「また行きたい」と思わせる仕組みを取り入れることで、自然と来店頻度が上がり、売上の安定化に貢献します。

まとめ

マッサージ店の開業には、施術内容に応じた資格取得や、資金計画、適切な手続きが求められます。自宅・マンション・レンタルサロン・出張など、開業形態ごとの特徴を把握し、自分に合った方法を選びましょう。

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