公開日: 2025.08.05 更新日: 2025.08.05

エステサロンを開業する流れとは?必要なものや失敗しないコツを解説

COLUMN

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エステサロンを開業する流れとは?必要なものや失敗しないコツを解説

エステサロンの開業を目指す際には、施術技術だけでなく、資格の有無や資金の準備、開業手続きなど幅広い知識が求められます。特に物件の種類によって費用も大きく異なるため、計画的な準備が必要です。

当記事では、エステサロン開業に必要な資格や資金の目安、開業までの流れを分かりやすく解説します。安定した経営を実現するための重要なポイントもについて知りたい方も、ぜひご覧ください。

1. エステサロンの開業に必要な資格や要件

エステサロンの開業には、国家資格や公的な許可は原則として不要です。美容師免許のような資格がなくても、必要な資金と設備、スキルがあれば誰でも開業可能です。保健所への届出も義務づけられていないため、比較的参入しやすい業種と言えます。

その一方で、誰でも始められるからこそ競争が激しく、差別化が重要になります。サロンのコンセプトやターゲット層を明確にし、独自性のあるサービスを提供することが成功のポイントとなります。加えて、民間の認定資格を取得しておくと、顧客からの信頼度が高まり、技術力の裏付けにもなります。取得には費用や研修が必要な場合もあるため、自身の経営方針と照らし合わせて検討することが大切です。

資格が不要であっても、開業後に経営を安定させるためには、施術の技術力と顧客対応力に加えて、マーケティングや経理といった経営スキルの習得も求められます。

1-1. 施術内容によっては資格が必要なケースもある

エステサロン自体の開業に特別な資格は必要ありませんが、提供する施術内容によっては国家資格や保健所への届出が求められるケースがあります。

たとえば、まつ毛パーマやまつ毛エクステンションは「美容行為」とされており、美容師免許がなければ施術できません。美容所として保健所への届け出が必要になります。また、フェイシャルトリートメントの一環で顔のシェービングを行うには、理容師免許と理容所の届出が義務付けられています。

提供する施術内容によっては法律違反となる可能性があるため、開業前に資格や許可の要否を十分に確認しておくことが重要です。

2. エステサロンの開業に必要なものを揃える資金の目安

エステサロンを開業する際に必要となる資金は、どこに店舗を構えるかによって大きく異なります。自宅やマンションの一室で始める場合と、テナントを借りる場合とでは初期費用の規模が変わるため、それぞれのケースに応じた資金計画が重要です。

以下で物件別に必要資金の目安を紹介します。

2-1. 自宅でサロンを開く場合の必要資金

自宅でエステサロンを開業する場合、店舗を借りる費用が不要なため、初期投資を抑えられるのが大きなメリットです。特に敷金・礼金・家賃といった負担がなく、限られた自己資金でもスタートしやすい点が魅力です。一方で、生活空間とサロンの区別が難しい、立地を選べない、家族の動線と重なるといったデメリットもあり、導線設計や内装には注意が必要です。

必要資金は導入機器や内装の内容によって大きく異なりますが、簡易的な設備であれば30万円前後、本格的なエステ機器を導入する場合は100万円以上を見込んでおく必要があります。以下は主な費用の内訳です。コストを抑えつつも、施術環境の快適さやお客様への配慮を忘れずに整えましょう。

費用項目 目安金額
内装工事費 10万~数百万円程度
エステ機器代 数十万~数百万円程度
消耗品・備品購入代 数万円程度
通信・ネット設備代 1万~3万円程度
広告宣伝費 3万~10万円程度

2-2. マンションでサロンを開く場合の必要資金

マンションの一室を活用してエステサロンを開業する場合、自宅サロンよりもコストはかかりますが、テナントほど高額にはなりにくく、比較的低コストでスタートしやすい方法と言えます。物件取得費や内装費、備品代、広告宣伝費などを合わせて、おおよそ100万~300万円程度の初期資金が必要です。

マンションは住宅地にあることが多く、落ち着いた雰囲気を好む顧客層には好印象を与えやすいです。しかし、管理規約で業種制限がある場合もあるため、事前確認が必要しましょう。主な費用の内訳は以下の通りです。

費用項目 目安金額
家賃・敷金・礼金・保証金 家賃2~4か月分(例:20万~40万円)
内装工事費 50万~150万円程度
エステ機器代 数十万~100万円以上
備品・消耗品購入費 数万~30万円程度
広告宣伝費 数万~50万円程度

2-3. テナントを賃貸する場合の必要資金

テナントを借りてエステサロンを開業する場合、自宅サロンよりも高額な初期費用が必要です。ただし、駅近や繁華街など集客に有利な立地を選べるため、開業後の売上アップが期待できます。物件に合わせた内装設計も可能で、非日常的な空間づくりを重視したい方には適しています。

開業資金の目安は内装のこだわりや物件条件にもよりますが、約200万~600万円程度が一般的です。以下は費用の主な内訳です。立地や内装にこだわることでブランディングにつながるため、予算に応じて戦略的な資金配分が重要です。

費用項目 目安金額
家賃・敷金・礼金・保証金 家賃の4~10か月分
(例:80万~200万円程度)
内装工事費 100万~500万円程度
エステ機器代 数十万~数百万円程度
備品・消耗品購入費 数万~100万円程度
広告宣伝費 数万~100万円程度

3. エステサロンを開業する流れ

エステサロンは、しっかりとした計画を立て、順を追って準備することで、安定した経営の土台が築けます。資金や物件の選定、設備の導入など、やるべきことは多岐にわたりますが、それぞれの工程を丁寧に進めることが成功への近道です。

開業までの基本的な流れは、以下の通りです。

3-1. 事業計画書を作る

事業計画書の作成は、エステサロンの開業を成功に導くための土台となる作業です。開業後の経営方針がぶれないように、開業前から計画を明確にしておくことが重要です。特に、金融機関からの融資や補助金の申請を考えている場合、事業計画書の提出が求められます。

事業計画書は、資金の使い道や販売戦略、経営者のスキルなど、複数の視点から事業の実現可能性を示す必要があります。以下の表は、一般的な事業計画書に盛り込む主な項目です。

項目 内容例
創業の動機 なぜエステサロンを始めたいのか、その背景やきっかけ
経営者の略歴 美容業界での経験、専門知識、資格など
事業内容 提供するサービス、想定ターゲット、営業時間など
人員・体制 従業員の人数、役割分担
販売戦略(集客方法) SNS活用、地域広告、紹介制度など
資金調達方法 自己資金、融資、補助金の活用など
財務計画(収支見通し) 売上予測、運転資金、固定費、利益目標など

計画を立てる際には、エステ機器や内装にかかる初期費用の見積もり、月々の運営費、将来的な利益目標なども具体的に算出し、実現可能な内容に落とし込むことが求められます。計画書の精度を高めることで、資金調達の成功率も向上します。

3-2. 必要資金を調達する

開業に必要な資金が把握できたら、次は不足分の資金をどのように調達するかを検討します。資金調達にはいくつかの方法があり、それぞれにメリットや注意点があります。

中でも日本政策金融公庫の「新規開業資金」は、初めて開業する方にも利用しやすい制度として知られています。低金利で返済期間にも余裕があるため、多くの起業家に活用されています。以下は、新規開業資金の主な概要です。

項目 内容
対象者 新たに事業を始める方、または開始後おおむね7年以内の方
資金の使途 事業開始後に必要とする設備資金および運転資金
融資限度額 7,200万円(うち運転資金は4,800万円)
返済期間 設備資金:20年以内/運転資金:10年以内
※うち据置期間5年以内

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

自治体によっては、返済不要の補助金・助成金制度もあります。ただし、支給までに時間がかかるケースもあるため、早めの情報収集が重要です。自己資金と融資のバランスをとりつつ、現実的な資金計画を立てましょう。

3-3. 開業場所を決める

エステサロンの開業場所は、集客や経費に大きく関わるため慎重に選ぶことが重要です。自宅の一室を使う方法、マンションの一室を借りる方法、シェアサロンを利用する方法、出張サービスとして始める方法など、形態によってかかる費用や運営上の制約は異なります。

開業形態 メリット デメリット
自宅
  • 賃料が不要で初期費用を抑えられる
  • 家庭と両立しやすい
  • 地域によって集客が難しい
  • プライベートとの区別が曖昧になりやすい
マンション
  • 賃貸物件よりもコストを抑えられる場合がある
  • 静かな環境で落ち着いた施術が可能
  • 契約に営業利用の許可が必要
  • 敷金が高額になる場合がある
テナント
  • 好立地を選べて集客しやすい
  • 自由に内装を整えやすい
  • 賃料・保証金・内装工事など初期費用が高額
シェアサロン
  • 初期投資を抑えられる
  • 短期間で開業可能
  • 設備や時間に制限がある
  • ブランディングが難しい場合もある
出張型
  • 物件が不要で低コスト
  • 柔軟にスケジュールを組める
  • 移動や機材の管理が必要
  • 顧客対応に手間がかかる

3-4. 設備や備品を準備する

エステサロンをスムーズに運営するには、必要な設備や備品を事前にリスト化し、計画的に準備しておくことが大切です。家具類や業務用機器のほか、消耗品や衛生用品なども含めると、多くのアイテムが必要となります。中古品の活用やリース契約を検討すれば、初期費用を抑えることも可能です。オープン直前に慌てて購入するのではなく、内装工事の完了を見越して早めに発注・準備を進めましょう。以下に、主な設備・備品を一覧でまとめました。

種類 内容
家具類 エステベッド、施術用椅子、待合ソファ、机、荷物かご、ハンガー など
機器類 美顔器、スチーマー、キャビテーション、ホットキャビ、キャッシュレス端末など
消耗品・衛生用品 タオル、シーツ、ローブ、スリッパ、ティッシュ、消毒液、手袋など
施術用品 業務用化粧品、マッサージオイル、ジェル、コットンなど
事務備品 レジ、パソコン、伝票、筆記用具、予約管理システム など

3-5. 開業届を提出する

エステサロンを開業するにあたっては、税務署への「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の提出が必要です。これは、開業後1か月以内に提出することが義務付けられており、提出しないまま営業を続けると青色申告の適用が受けられなくなるため、注意が必要です。

開業届には、屋号や事業内容、事業所の所在地などを記載します。合わせて「青色申告承認申請書」も提出すれば、65万円または10万円の控除が適用され、帳簿をきちんとつけることで節税効果が期待できます。

事業用の銀行口座やクレジットカードを作成する際にも、開業届の控えが必要になるケースがあるため、開業手続きの初期段階で忘れずに提出することが重要です。

4. エステサロンの経営者の年収

エステサロンの経営者は、経営規模や立地によって年収に大きな差があります。個人経営のサロンでは年収200万~500万円程度が一般的であり、これは会社員と同等かやや高い水準です。一方で、複数店舗を運営しているサロンオーナーの中には、年収1,000万円を超えるケースも存在します。エステティシャンとして働く場合の平均年収が約300万円とされる中、独立して経営することで収入アップの可能性が広がると言えます。

ただし、黒字経営を実現するまでには時間がかかることもあり、経費や集客の状況によっては赤字となるリスクもあるため、安定収入を得るには経営力が求められます。

実質的な月収は、35万~90万円程度が目安とされており、単価や稼働日数によって大きく変動します。たとえば、1日3人に施術を行い、単価1万円、月稼働25日で月商75万円です。ここから経費を引いた額が月収となるため、効率的な経営が収入に直結します。

5. エステサロンの開業に失敗しないためのポイント

エステサロンの開業を成功させるには、施術技術だけでなく経営視点も欠かせません。特に、集客や収益の安定化には事前の準備と戦略が重要です。以下では失敗を防ぐために意識しておきたい5つのポイントを解説します。

5-1. コンセプトを明確に定める

エステサロンのコンセプトとは、店舗の内装やカラーだけでなく、経営の軸となる方針や価値観そのものを指します。サービス内容やメニュー、集客方法などに一貫性を持たせ、競合との差別化をするには、明確なコンセプトの設定が重要です。

まずは「なぜ開業したいのか」という原点に立ち返り、ミッション・ビジョン・バリューを含む企業理念を定めましょう。次に、自分の強みやこだわりを洗い出し、競合店の調査やメニュー価格、地域のニーズを踏まえてターゲット像を明確にします。

最終的には、具体的なペルソナ(性別・年齢・職業・趣味・美容意識など)を描くことで、サロン全体の方向性が自然と定まり、内装から価格、サービス内容まで一貫性のあるサロン運営が可能になります。

5-2. 補助金や助成金を活用する

エステサロンの開業時には助成金や補助金などを利用できます。以下で利用できる助成金・補助金の種類と概要を紹介します。

助成金 キャリアアップ助成金 パート・アルバイトを正社員に転換した場合に支給される助成金
両立支援等助成金 育児・介護と仕事の両立を支援する制度整備などに対して支給
地域雇用開発助成金 雇用機会の少ない地域での開業や人材雇用を行う場合に支給
補助金 小規模事業者持続化補助金 チラシ作成・ホームページ制作・内装工事など、販路拡大や経営改善の費用を補助
ものづくり補助金 高性能エステ機器などの導入、新サービス開発に対して支給
自治体の創業支援補助金 自治体独自の創業支援(物件取得費や開業資金の一部を補助)。地域により条件が異なる
IT導入補助金 顧客管理や予約管理システム、会計ソフトなどのITツール導入費用を補助

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

出典:厚生労働省「2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内」

出典:厚生労働省「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」

出典:ものづくり補助金総合サイト/

出典:株式会社NBS「小規模事業者持続化補助金」

出典:IT導入補助金 2025「IT導入補助金のしくみ」

5-3. リピーターが生まれる仕組みを作る

エステサロンの経営を安定させるには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客に継続して通ってもらうことが大切です。特にリピーターは、広告費をかけずに売上を維持できる存在であり、客単価も高まりやすい傾向にあります。満足度の高い接客やサービスを提供するだけではなく、「また来たい」と思わせる仕組みを意識的に設けましょう。リピーターを増やすために実践できる施策を一覧表で紹介します。

  • スタンプカードやポイントカードで来店ごとの特典を提供する
  • リピーター専用クーポンや割引を発行する
  • 紹介制度を導入し、紹介者・被紹介者の双方に特典を付与する
  • 施術後にアフターフォローメッセージを送る
  • 誕生日や記念日に合わせたDMを送信する
  • 次回来店の予約を施術後に促す
  • 接客・カウンセリング力を向上させ、信頼関係を築く
  • 顧客の来店履歴や属性をもとにサービスをパーソナライズする
  • SNSを活用して最新情報やお得なキャンペーンを発信する

リピーター施策を確実に実行するには、予約管理システムの活用が効果的です。スタンプカードの自動管理や、来店後のフォローメッセージ・誕生日DMの自動配信などにより、手間なく再来店を促せます。顧客データを分析してクーポン配信やサービス改善にも活用できるため、継続的な来店につながるでしょう。

5-4. 顧客のニーズに合ったサービスを提供する

リピーターを育てるためには、施術の質だけでなく、顧客一人ひとりの要望や悩みに合ったサービスを提供することが重要です。たとえば、肌質や体調、ライフスタイルに応じたメニュー提案を行うことで、顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じやすくなります。

その際、初回来店時だけでなく、2回目以降の来店でもカルテや来店履歴を活用して対応内容を調整することが効果的です。個別対応の積み重ねが、長期的な信頼関係と継続利用につながります。

5-5. 正しい経営知識を身につけておく

エステサロンの運営を成功させるには、施術技術や接客力だけでなく、経営に関する正しい知識とスキルを持つことが不可欠です。ニーズや市場環境が変化する中で、既存のやり方に固執せず、常に情報を更新し続ける姿勢が求められます。

具体的には、マーケティングや財務管理、スタッフ育成、法規対応など幅広い分野を学ぶことが重要です。オンラインセミナーや書籍、資格取得などを活用すれば、日々の業務と並行して効率的に学習できます。また、経営上の課題が発生した際には他責にせず、自ら分析・改善に取り組む主体的な姿勢が、持続可能な経営につながります。常に学び続ける姿勢こそが、変化に強いサロン経営を支える土台となるでしょう。

まとめ

エステサロンの開業には基本的に特別な資格は不要ですが、まつ毛エクステやシェービングなど一部施術には美容師・理容師免許が必要です。開業資金は自宅やテナントなど開業する場所によって大きく異なるため、場所ごとのメリットとデメリットを知った上でどの形で開業するのかを決めましょう。

成功のポイントは明確なコンセプト設定、補助金の活用、リピーター獲得の仕組み作り、顧客ニーズに合ったサービス提供、そして正しい経営知識の習得などです。事業計画書の作成から開業届の提出まで段階的に準備を進めることで、安定した経営基盤を築けるでしょう。

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