公開日: 2024.06.25 更新日: 2024.08.02
予約システムで実現できる事前決済制とは?導入するメリットを解説
飲食店やホテルで事前決済制の導入が進んでいます。事前決済制の導入が進んでいる理由は、無断キャンセル・ノーショーの抑制に効果があるためです。また、顧客の利便性が高まるというメリットもあります。
この記事では、予約システムを採用することで導入できる事前決済制について、メリット・デメリットを中心に詳しく解説します。さらに、オンライン決済の手段や事前決済のラインナップについても取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 予約システムの導入で実現できる事前決済制とは?
事前決済制とは、顧客が商品の購入代金やサービスの利用料を事前に支払うことです。事前決済機能つき予約システムを導入すれば、顧客はネット予約とキャッシュレス決済の両方を簡単に済ませることができます。
キャッシュレス決済は現金を用いない決済方法であり、特に有名なものはクレジットカードやスマホ決済アプリなどです。また、これらの支払方法が普及する前から利用されてきた口座振替もキャッシュレス決済の一種です。
事前決済制が普及している理由の1つに、国が推進するキャッシュレス化があります。経済産業省の発表によると2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%であり、2025年6月までの目標値である4割へと着実に近づいています。今後のキャッシュレス化のさらなる普及とともに、事前決済機能つき予約システムを導入する店舗も増えていくでしょう。
2. 事前決済制を導入するメリット
事前決済制を導入することで顧客と店舗の双方が多くのメリットを享受でき、より高品質なサービス提供や働き方改革の実践などにつながります。事前決済制を導入するメリットは、次の通りです。
2-1. 無断キャンセル・ノーショーの抑制につながる
無断キャンセル(ノーショー)とは、何の連絡もなく予約をキャンセルされることです。無断キャンセルが発生した店舗は、予約のために用意した材料が無駄になるなどの大損害を被ります。
事前に予約のみをする方式は、「とりあえず予約しておいて後でキャンセルすればよい」などといった安易な予約によるトラブルを招きかねません。一方、事前決済制で予約と支払いを同時に行うと「もう支払ったから安易にキャンセルできない」という抑止力が働きます。また、直前にキャンセルされた場合はキャンセル料の自動徴収も可能です。
2-2. 会計・売上管理業務を簡素化・効率化できる
事前に予約や決済が完了するため、当日はレジ打ちやレジ締めなどの業務に時間を取られずサービスの提供に集中できます。また、おつりの計算間違いや決済用端末の操作ミスなどのトラブル防止にも有効です。
事前決済制を利用すると、自動的に取引履歴が残ります。この取引履歴は、精算だけではなく売上や在庫情報、そして顧客情報の管理にも欠かせません。事前決済制の導入はスタッフの負担軽減と人件費削減に役立つうえ、顧客満足度やサービス品質の向上にもつながります。
2-3. 顧客の利便性が高まる
オンラインで予約と支払いの手続きが完結するため、顧客は当日に現金やカード類を持ち歩く必要がなくなります。また、顧客に「どのようなサービスをいくらで利用できるのだろう?」「合計支払額はいくらだろう?」などといった心配をかけることもありません。顧客の手元には予約確認メールなどのデータが残るため、「予約日時を忘れた」「仕事で使ったレシートをなくして経費精算に手間取った」などのトラブル防止にも役立ちます。
電話や来店での予約は店舗の営業時間内でなければできませんが、オンライン予約はその限りではありません。オンライン予約の活用は、多忙などの理由で営業時間内に予約しにくい顧客の獲得にも役立ちます。
2-4. 外国人観光客を取り込める
事前決済機能つき予約システムに外国語ページを設けることで、インバウンド需要にも対応しやすくなります。日本語に不慣れな観光客でもスムーズに予約や支払い手続きを進められるうえ、外国語を話せるスタッフがいなくても注文や会計に手間取る心配はほとんどありません。
近年は日本以上にキャッシュレス決済が普及している国が多く、そうした国からの観光客は「現金決済のみの店舗は利用しにくい」と感じることもしばしばです。加えて、郊外などでは外貨両替所の少なさも大きな不安材料となります。外国人観光客に手持ちの日本円の残額を気にせず安心して来店してもらうためにも、事前決済制の導入がおすすめです。
2-5. 感染症対策につながる
店舗での受付や会計を省くことで顧客がレジに並ばずにすみ、顧客とスタッフの双方がソーシャルディスタンスを保ちやすくなります。また現金は不特定多数の人の手に触れるものであり、現金に触れることで感染リスクが上がると心配する顧客も少なくありません。しかし、事前決済制の導入によって現金やレシートなどの手渡しによる接触感染リスクを下げることが可能です。
ソーシャルディスタンス確保や接触感染対策は、新型コロナウイルスだけではなくインフルエンザや食中毒といったさまざまな感染症の予防に役立ちます。事前決済制の導入によって店舗内の感染症対策を進めやすくなり、顧客にもより一層安心してもらえるでしょう。
3. 事前決済制を導入するデメリット
事前決済制の導入にはいくつかのデメリットもあるものの、デメリットばかりに気を取られて事前決済制の導入をあきらめることはもったいないとも言えます。ここでは、事前決済制のデメリットとともにこれらのデメリットを解消するためのポイントについても解説します。
3-1. 決済手数料が必要になる
キャッシュレス決済では、売上金額に比例して決済手数料がかかります。便利だからといってキャッシュレス決済の種類を増やしすぎると、決済手数料の出費が思わぬ痛手となりかねません。
決済手数料の無駄を省くためには、客層に合わせたキャッシュレス決済選びが重要です。例えば、メインターゲットの年齢層が高めの店舗にはクレジットカードがおすすめです。クレジットカードはキャッシュレス決済の中でも歴史が長く、スマホに不慣れな顧客でも抵抗なく使えます。また、顧客の多くはある程度収入がありクレジットカード利用率が高いとも予想できます。
比較的若者向けの店舗には、スマホ決済がおすすめです。スマホ決済はスマホの操作に慣れた若者世代にとって利用のハードルが低く、クレジットカードを持ちにくい未成年なども利用しやすいでしょう。
3-2. 導入費用・月額利用料が必要になる
事前決済機能つき予約システムを導入すると、決済手数料に加えて予約システムの月額利用料がかかります。事前決済制に加えて店頭でもキャッシュレス決済を行う場合は、決済用端末の導入が不可欠です。店舗の状況によっては、月額利用料や導入費用の負担が重いと感じるケースもあるでしょう。
しかし、事前決済制の活用によって無断キャンセルやヒューマンエラーの抑止、人件費削減、そして新規顧客・リピーターの獲得を期待できます。事前決済制の導入によって一時的に出費は増えるものの、長い目で見るとコストカットやより働きやすい職場づくりに役立つでしょう。
3-3. セキュリティ面に配慮する必要がある
事前決済制では、予約や支払い手続きに際して顧客の個人情報が必要となります。万が一これらの情報がネット上に流出した場合、店舗のイメージダウンや顧客からの訴訟といったトラブルにつながることもしばしばです。
セキュリティ面からのリスクヘッジとして、まず信頼のおける決済代行会社との契約をおすすめします。クレジットカードのセキュリティに関する国際基準「PCI DSS」に準拠しているかどうかが、決済代行会社選びの1つの目安となります。
同時に、スタッフに対して個人情報の取り扱いに関する教育をしっかり行うことも大切です。集客のためにSNSなどを活用している場合は、予期せぬトラブルを防ぐため投稿内容の精査やID・パスワードの管理を徹底しましょう。
3-4. 導入までに時間がかかる
キャッシュレス決済利用の申し込みにともなう審査や、端末類の準備などに時間がかかることがあります。審査にかかる時間は決済手段によってまちまちですが、なかには数か月かかるケースもあります。また、予約システムの使い方についてスタッフにしっかり理解してもらうことも欠かせません。
ただし、導入を急ぎすぎて工程の不備を見落とすと運用開始後のトラブルにつながる恐れがあります。顧客とスタッフの双方が安心して事前決済制を利用するためには、時間に余裕をもって一つひとつの工程を確実に進めることが大切です。
4. 事前決済制を導入する際の注意点
顧客と店舗の両方がより効率よく、かつ安心して事前決済制を利用するためには、次の注意点を守ることが大切です。
(1)キャンセルポリシーを明確にする
事前決済制を導入しても無断キャンセルを完全に防げるとは限らず、またやむを得ない理由でのキャンセルは起こり得ます。キャンセル関連のトラブル予防には、キャンセル可能期間やキャンセル料金、返金方法などをキャンセルポリシーにまとめて分かりやすく明示することが欠かせません。
(2)セキュリティ対策を万全にする
信頼できる決済代行会社の利用やスタッフ教育に加えて、ウイルス対策ソフトなどによるセキュリティ対策も忘れずに行いましょう。より万全な対策を施すことで、予約システムとほかの業務用ツールの連携や複数端末による操作なども安心して行えます。
(3)事前決済制利用のメリットをアピールする
いくら便利な予約システムを導入しても、顧客側がメリットを感じられなければ顧客獲得にはつながりません。顧客に予約したいと思ってもらうためには、まず事前決済の利用によって待ち時間や当日の会計がいらなくなることなどを分かりやすくアピールします。他店との差別化を図るため、店舗独自のポイント制度や割引サービスなどを活用することも優れた方法です。
5. 事前決済・オンライン決済の決済手段
現在、世界各地でさまざまなオンライン決済手段が登場しています。客層に合わせてオンライン決済を選ぶことは、事前決済制の導入にはもちろん、リピーターを増やしたい場合や実店舗とECサイトの両方を運営したい場合にも欠かせません。ここでは、オンライン決済の主な種類について解説します。
5-1. クレジットカード
JCBやVisaなどに代表されるクレジットカードは、店舗の専用端末でカード番号と暗証番号を読み込む決済方法です。オンライン決済でクレジットカードを使う場合は、カード番号やカード裏面に記されたセキュリティコードを入力します。一定期間内に支払った金額が翌月などにまとめて銀行口座から引き落とされ、分割払いやリボ払いにも対応可能です。
クレジットカードと似た決済方法の1つに、デビットカードがあります。デビットカードの特徴は、決済と同時に銀行口座から引き落とされ支払いが完了することです。より現金に近い感覚で使用できるうえ、使いすぎを防ぐ効果も期待できます。
5-2. QRコード決済
PayPayやau Payに代表されるQRコード決済は、顧客と店舗のいずれかが提示したQRコードやバーコードをもう一方が読み取って支払う決済方法です。アプリにログインすれば、オンライン決済や個人間の送金にも対応できます。
QRコード決済アプリは銀行口座のほかに電子マネーやクレジットカードに紐づけることができ、ATMを介した現金チャージも可能です。近年は多くのアプリが登場しており、アプリ独自のポイント還元システムやキャンペーンも実施されています。
QRコード決済では、あらかじめアプリにチャージした残高で支払う前払い方式がもっとも一般的です。しかし、近年はクレジットカードのような後払い方式やデビットカードのような即時払い方式もあります。
5-3. 非接触型IC決済
非接触型IC決済は、ICチップ入りカードやスマホを店頭のICリーダーにかざして決済する決済方式です。SuicaやWAONなどのモバイル版アプリを使うことでカードを持ち歩く必要がなくなるうえ、これらのアプリの多くはオンライン決済にも対応できます。QRコードと同じく前払い方式が主流ですが、QuicPayに代表される後払い方式やデビットカードと紐づけて即時払いに対応できるiDなども有名です。
複数のキャッシュレス決済情報を一括管理したい場合は、Apple PayやGoogle Payなどが便利です。アプリ内で使いたいカードの情報を選んでからICリーダーにかざすと、選択した決済方法で決済できます。Apple PayやGoogle Payではカード番号の暗号化によって外部への情報漏洩を防ぐトークン決済方式を採用しており、より安全な決済が可能です。
6. 予約システム・リザエンが対応している事前決済のラインナップ
リザエンとは、200業種以上で利用可能な予約システムです。4種類の予約タイプから選べるシステムは高度なセキュリティでしっかり守られており、操作画面は顧客とスタッフの双方が直感的に操作できる仕組みになっています。また、既存ホームページへの埋め込みも可能です。
リザエンでは、決済機能を利用して事前決済に対応できます。予約、決済、そして顧客管理などの業務を一元管理することで業務効率化が実現し、顧客満足度向上に役立った事例も少なくありません。次に、リザエンで利用可能な決済代行会社について解説します。
6-1. Stripe
Stripeとは、世界およそ120か国で事業展開しているアメリカのオンライン決済サービスです。PCI DSSに準拠して開発されているため非常にセキュリティ性が高く、数百万社以上の企業で採用されています。日本人向けの店舗はもちろん、インバウンド対応を強化したい場合や海外展開を想定している場合にもおすすめです。
Stripeはほかの決済代行サービスと比べて決済手数料が安価なうえ、出金手数料や月会費などの追加費用もかかりません。アカウント登録直後から利用できるため、極力コストを抑えたい場合はもちろん事前決済制をすぐに導入したい場合にもおすすめです。
決済手段 | 手数料 |
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クレジットカード決済 | 決済額の4.6% |
ビジネス版リザエンにおけるStripeの手数料は、Stripe手数料3.6%とリザエン手数料1%の合計額となります。
6-2. SBペイメントサービス
SBペイメントサービスとは、国内トップクラスの取引高を誇るソフトバンクグループの決済代行サービスです。対応可能なキャッシュレス決済の種類の多さに加えて、自社保有の膨大な決済データを用いてクレジットカードの不正利用を検知するAI不正検知サービスも大きな魅力です。また、PCI DSSの完全準拠認定に加えてISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマークなども取得しています。
申し込みから利用開始までにかかる期間は決済手段や店舗でのサービス内容によって異なるものの、3週間~2か月程度が目安です。
決済手段 | 手数料 |
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クレジットカード決済 PayPay Apple Pay au Pay |
お問い合わせください |
リザエンにおけるSBペイメントサービスの手数料および導入費用は、決済手段によって異なります。
6-3. GMO
GMOペイメントゲートウェイ(以下、GMO)とは、GMOインターネットグループの決済代行会社です。
法人向けの「PGマルチペイメントサービス」は公的機関を含む15万店舗以上で選ばれており、取引処理のキャパシティの大きさや決済処理の素早さが魅力です。PCI DSS準拠のハイレベルなセキュリティに加えて、HDI国際認定を取得したカスタマーサポート部門がシステムの運用や疑問に対して手厚くサポートします。また、さまざまな業種や業態に特化したプランも選択可能です。
申し込みから利用開始までの期間は最短2週間ですが、実際の期間は決済手段やプランの内容によって変動します。
決済手段 | 手数料 |
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クレジットカード決済 | お問い合わせください |
リザエンにおけるGMOの手数料および導入費用は、プランの内容や決済手段などによって異なります。
まとめ
予約システムを使った事前決済制では、オンライン決済によりさまざまな決済方法に対応できます。具体的には、クレジットカード・デビットカードやQRコード決済、非接触型IC決済に対応することが可能です。これらのバリエーション豊かな決済方法に対応できることで、顧客の利便性が大幅に向上します。
予約システムのリザエンでは、事前決済制の導入が可能です。StripeやSBペイメントサービス、GMOペイメントゲートウェイといった決済サービスに対応しております。事前決済制の導入を目指している方は、ぜひリザエンの利用をご検討ください。